マイクロソフトのユーザーサポート

きょう初めてマイクロソフトのユーザーサポートに電話した。今使っているソフトがどうも不具合があって自分で対処できなかったためだが、何事も自分で何とかしようとする私がサポートに電話するなど前代未聞だった。ちなみに小生はMacユーザーだが、別にマイクロソフトのことを「悪の帝国」だなどとは全く思っていないし、敵対心もそれほどはない。なぜなら所詮Macなんて市場シェア5%なのだから、粋がっても勝負にはなりえないからだ。
それで電話の話に戻るが、この対応した担当者がまた非常に印象がいい。対応が適切かつ丁寧。話し方にも誠意が感じられる。小生のトラブルはなかなかやっかいでその場では解決ができなかったのだが「調べて後ほど電話します」ということでいったん電話を切った。口の悪い妻などは「どうせかかりっこないわよ」などと言っていたのだが、数時間後にちゃんと電話が来た。まだちゃんとした解決策を見いだせないが、どうもこのあたりに問題がありそうだという途中経過の報告だった。そしてさらに調べたあとでまた電話する、という内容だった。
最終的に問題が解決できるかどうかはわからないが、ここまでの対応ぶりはなかなか優秀で合格点があげられると思う。以前、仕事の関係でDELLのサポートにも電話したが、これも非常に良かった。両者に共通しているのは、マニュアルがしっかりしているという点。しかもコンビニのバイトの店員に対するような単なるマニュアルではなく、「なぜこうしなければいけないのか」という目的が備わったマニュアルという感じを受けた。それが今伸びている企業のクオリティなのだろうとも思う。言い換えれば企業統治(ガバナンス)がしっかりしている企業で働く従業員の質の高さを物語っているわけだ。サポートというと製品開発をしているわけでもなく、収入をかせぐ営業でもなく、ともすれば事後処理屋、クレーム処理という面があるせいか、企業の中でともすれば軽く見られがちな部署であった。
ところが近年、ユーザーは購入体験だけでなく使用体験も重視する時代になっている。新たな市場を次々に開拓できる時代はとうに終わって(除、中国)買い換え需要が重要なターゲットになっている。いついつまでも当社をご贔屓にしていただくためには、アフターケアはかつてないほど重要だ。そうした時代要請にマイクロソフトも対応しているということだろうか。また、東芝のクレーマー事件に見られるように消費者側がホームページやブログなどの情報発信手段を持つことで、企業のいいかげんな対応を世論に訴えるということも日常化している。こうした点も背景にはあると思われる(実際、マイクロソフトもサポートにかかってきた電話を録音することがあると明示している)。ともあれ、かつてお客様のクレームの中に商売のヒントがある、と言われたこともあるように、ユーザーからの直接のリアクションはある意味で企業にとって宝のようなものである。莫大な市場調査費をかけなくても、向こうから商品に関する印象や問題点の指摘を伝えてくれるからだ。そういう意味で、マイクロソフトはやはり世界を席巻するだけのガバナンスの効いた企業なのだなと改めて感じ入った次第である。(しかし相談しているトラブルは本当に解決されるのだろうか・・・)。